Drizzleとクリッピングについて
前回の記事では、bayer drizzleにはMADクリップが良いという結論になりました。
が、よく考えればそう結論付けるには比較対象が足りてません。
また、bayer drizzleがdebayerより優れているかどうかについても検証していません。
と言うことで、同じオリオン大星雲を使って検証していきます。
※天体観測を始めて4ヶ月の人間なので色々間違っていると思いますが、コメントで指摘して頂けると勉強になるので有り難いです。
比較する処理としては次の通りです。
①ディベイヤーとbayer Drizzleの比較
②スタッキングでシグマクリップ、MADクリップ、クリッピング無し(none)の比較
これらの6バターンで処理して差を比べてみました。
まず、処理にかかった時間です。
MADクリップは他と比べて処理が遅く時間がかかります。
ですが、ディベイヤーと比べてDrizzleはregistrationの処理が速いので、Drizzle+MADクリップでもディベイヤー+noneと比較して大きな差が出ませんでした。
なぜnoneとシグマクリップに差が出なかったのか謎です…。
では画像の比較に移ります。
まず、何も映っていないバックグラウンド部分の比較です。
スタッキングモードはnone、シグマクリップ、MADクリップをそれぞれ試しました。
本来シグマクリップやMADクリップは、人工衛星や突発ノイズが写り込んだ時に排除する為の処理ですが、バックグラウンドノイズにも差が出ました。
左がDrizzle、右がディベイヤーです。
none
MADクリップは、他の2つと比べてディベイヤーとDrizzleの差が殆どありません。
ですが、他2つと比較してノイズが小さくなり、不快度が減りました。
MAD(Median absolute Deviation = 中央絶対偏差)は、シグマクリップに使われる標準偏差よりも外れ値の影響を受けにくい計算方法です。
もしかすると、ノイズにも外れ値がそこそこあり、これを排除出来たことでノイズ感が減った可能性があります。
撮影したカメラはZV-E10なので、CMOSカメラと違ってダーク減算を行っても綺麗に熱ノイズは取り除けません。
こういうノイズがMADクリップで排除できたことでノイズ感が低減したのかもしれません。
続いて、ストレッチを行って比較しようと思いましたが、ストレッチの数値を揃えることが出来ませんでした。
同じ値でストレッチすると差が出た為です。
画像の元データは完全に同一なのに…
左がDrizzleのMADクリップ、右がディベイヤーのMADクリップです。
バックグラウンドの明るさがここまで変わるんだと驚きました。
ただし、ストレッチ時にシャドウ部分は切り捨てるので出来上がった画像にはあまり差は出ませんでした。
もっとコントラスト豊かな写真が撮れるようになると、この辺りが効いてくれるのかな?
今回は比較が目的なので、ヒストグラムが似た形状になる様にストレッチした画像です。
上段がディベイヤー、下段がDrizzle
左からnone、シグマクリップ、MADクリップです。
暗黒帯などの構造を比べてみましたが、私の目には差が分かりません。
Drizzleでは微細構造が出て来やすいと聞いていましたが、これは分かりませんでした。
機材を揃えて、もっと腕を上げたらこういう差を出せる画像が撮影できるのかな?と思います。
と言うことで、今回はbayer drizzleとディベイヤー、スタック時のクリッピング処理の差について比較しました。
ノイズ感と色の観点から、bayer Drizzle + MADクリップが現状最も良さそうです。
ひとまずこれでSirilの処理で気になっていた所の決着がつきました。
あとはストレッチの腕を上げていくしかないかな…
ここ最数日は夜も晴れ予報だったんですが、ベランダから見える範囲は薄曇りで全く撮影できません。
他の方向はよく晴れているのに残念です。
晴れてくれないかなぁ・・・
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